西欧の城塞都市に着想を得て設計された五稜郭
古くから蝦夷地における倭人との貿易港として栄えた北海道の函館。幕末のペリー来航を境に国際港としての面を見せたこの地に、1857年から建設が開始されたのが五稜郭だ。4方向へ土塁を伸ばし周囲からの目を遮り、大砲での攻撃を行いやすくするその星形の形状は、17世紀に欧州で考案された城塞設計を手本にとったと言われている。その背景には欧米諸国の進出に対する警戒など、変わりゆく時代への対処があった。
明治の風と共に
当初は役所としての面が強かった五稜郭が有名になったのは、やはり1868年の箱館戦争での攻防戦によるものだろう。その砲撃戦に備えられた構造も兵器の進化の前には効力を失い、旧幕府軍の敗北に繋がっていったのである。その古戦場は今も函館における観光地の一つとして賑わいを見せている。