2度の増築を経た松本城
国の史跡として登録されている松本城は信州の真ん中、長野県松本市に立つ城だ。1592年に築かれたこの城はその当初、徳川から豊臣に寝返った大名である石川数正がその主だったが、その後石川氏が改易によりその地を去ると、小笠原氏、松平氏によって更なる改築が施された。譜代大名としては唯一の例である五重天守や将軍家光の歓迎の為に作られた2つの櫓などは、増築であることを思わせない高い完成度を誇っている。
時代が変われば城も変わる
松本城の天守は2度の改築によりその優美さを増しているが、当初造られた天守は弓や鉄砲のための狭間や守備兵の為の居住スペースなど、軍事的な面が強いものであった。その反面、1633年に作られた櫓は内装が豪華になり、月見用に開放的な設計が行われるなど、時代の変化を見て取ることができる。